家康…貴様がいなければ、私は陽光を失って朽ち果ててしまう。
あの日、自らの首を躊躇なく斬りつけた家康にそれまでの態度が嘘のように真っ青な顔になった大男は、三成を投げ捨てて家康を抱えて走り去っていった。
三成もその時だけはあの大男に絶対に助けろと念じて一度は意識を失ったが、なんとか自力で運転して帰ってきた。
鮮血を流して倒れた家康の姿が頭から離れず、しばらく部屋にこもりきりになっていた。
あれは、自分のせいだ。
自分が激昂しなければ、大男は自分を傷つけなかったし家康も首を切ることを実行しなくてすんだのだ。
自分が家康を追い詰めた。
しかし、それでも。
家康は自分の元にあるべきだし、あれを誰にも譲ることはできない。
どうしたらあの呪縛から家康を取り戻せるのか。
もしも万が一あの大男を討ち果たすことができたとしても、家康を縛っているのはあの男ではなく、”徳川”だ。
国を動かすことができるほどの権力に、何も持っていないただの大学生の自分が敵うはずもない。
家康はあそこにいたくないと言った。自分と逃げようとした。
それを信じれば何でもできる気がする。
どうすれば。
ぐるぐると巡る思考に気が狂いそうになっていた時、家康から手紙が届いた。
破る勢いでそれを開き血筋が走る目を見開いて読めば。
―――わしは必ずおまえの元に帰る。おまえは待つのは性に合わないだろうが、信じて待っていてほしい。―――
それだけが綴られていた。
だから三成は耐えた。
その一度きりの手紙を信じて。